文春文庫_鬼平犯科帳_唖の十蔵
今回の記事は時代小説の短編集
「鬼平犯科帳」の1章「唖(おし)の十蔵」について触れていこうと思います。
◆タイトル
鬼平犯科帳_唖の十蔵
◆ジャンル
時代小説
◆世界観
物語の舞台は天明7年(1784年)の浅草周辺。
主人公たちは「火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)」という特別警察に所属している。
※ざっくり言うと「アカメが斬る!」のイェーガーズみたいな感じです。
◆登場人物
小野十蔵:この章における語り部。妻帯者。
おふじ:この章におけるヒロイン。未亡人。
助次郎:敵対する組織の下っ端。
長谷川平蔵:主人公。普段はニコニコしているが、有事の際は鬼のような性格になる。
◆あらすじ
特別警察「火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)」に所属する小野十蔵は盗賊団を追っていた。
ある日、十蔵は盗賊団のメンバーの一人である助次郎が密会するという情報を仕入れる。
十蔵が密会場所である小屋に入ると、そこには絞殺された助次郎と泣き崩れるおふじの姿があった。
おふじに話を聞くと、助次郎に捨てられそうになり勢いあまって殺してしまったことを知る。
十蔵は事情を聴いていくうちに情が移り、おふじに肩入れしてしまう。
なぜならこの時代は、家族が犯罪者であれば同罪とみなされ厳しく処罰される時代なうえに、おふじが助次郎の子を妊娠していることを知ってしまったから・・・・・・。
◆感想
短編集の1章ということもあり、物語の進行が駆け足だなという印象でした。
そのかわりテンポよく物語が進むのであっという間に1章を読み終えました。
ひとつ気づいたのは、対象の読者層がライトノベルと違うからか登場人物の平均年齢が高い高い。
判明している限りだと、
小野十蔵が30歳。
長谷川平蔵が42歳。
明言はされていませんがメインヒロインであるおふじも30歳は超えていると思われます。しかもバツイチ。
妻と不仲の十蔵が、未亡人であるおふじと不倫するわけですからね。
色々な意味で新鮮でした。
読んでて面白くなったな、と思ったポイントは最後のどんでん返しでしょうか。
衝撃のラストでした。
いい意味で期待を裏切ってくれました。
ラノベ風に書き直すなら
特殊警察に所属する主人公が、犯罪組織にいいように使われていた少女を保護する。
主人公は少女をかばうために、上司には報告しなかった。
次の日、主人公は助けた少女が特殊警察から指名手配されていることを知ってしまう。
そうこうしているうちに主人公は、組織を裏切ったとして少女もろとも指名手配される。
みたいな感じでしょうか。